さて、ここは私自身の持ち株を紹介している記事です。
今回ご紹介する「エイジス」という会社は、小売店などの棚卸を代行する業務をメインとしています。
エイジスは棚卸し代行の分野では、圧倒的なシェアを誇っている企業なんです。
投資家としてはシェア1位というのは安心感のある言葉だと思います。
目次
エイジスの企業分析と理論株価
※2023年3月期決算を受けて内容を更新しています。
実のところ私自身はエイジスという会社に昔から注目をしていました。
ですが実際に株を買ったのは、注目をしてからかなりの時間がたってからなのです。
ビジネスという点でみると、メインの棚卸し代行は圧倒的なシェアをほこり、第二の収益の柱であるリテイルサポートも育ちつつあります。
海外展開は順調とまでは言えませんが、着実にすすめられています。
それでも投資をためらっていたのは、社内的な問題が一つあったからなんですよね。
企業がブラック化しても利益は増えない
エイジスという企業は、まさに社会問題となっているブラック企業の疑いがかけられていました。
過去に厚生労働省から是正勧告をうけています。
この事が投資をするかどうかを迷わせていたんですよね…
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私は社員を大切にしない会社が嫌いです。
これは私自身がサラリーマンだからというのもありますが、投資家だからこその理由もきちんとあります。
まず第一にブラック化は、企業に利益をもたらしません。
一見すると従業員から搾取することで、もうかりそうな気がしますよね。
ですが意外にも、そんな事はないんです。
たとえばあるA社がブラック化したとしましょう。
残業代を出さなかったり、異常なまでの勤務時間を社員にさせ始めました。
すると最初は、人件費が安くなることで利益が増えます。
しかし会社というのは、それだけでは満足をしません。
規模を拡大したがるものなんです。
そのため売上を増やすために次は、低い人件費を武器にし安売り競争をしかけます。
これにより同業他社からシェアをうばい、売上は増え、会社はウハウハ状態になりました。
やっぱりブラック企業はもうかるんじゃんと、思われるかもしれません。
しかし、続きがあるんです。
A社にシェアをとられたライバル会社は、どうするでしょうか。
ここでは仮に、ライバル企業をB社とします。
B社はA社に安値攻勢を仕掛けられて、売上が減り大ピンチです。
このままではB社は倒産してしまいます。
B社が生き残るためには、A社と同じ値段で売るしかありません。
そのためには、どうすればいいか?
そうなんです。
結局はB社もブラック企業になるんです。
それしか生き残る道がないんですから。
悲しい選択です。
こうして2つのブラック企業が誕生します。
そしてB社もブラック化したことで、A社に人件費を削減したメリットは無くなりました。
条件が同じになったからです。
つまりA社もB社も共に、ただ単に前よりも、商品を安く売っているだけとなったのです。
結果として誰も得をしない、みんなが損をする道が選ばれました。
これがブラック企業になるメリットがない理由です。
たしかに一時的には競争優位性を持てますが長くは続きません。いずれは差がなくなります。
社員満足度が低いと、成果は出ない
ブラック化が無意味な二つ目の理由は「業務全体のレベルが下がる」ことです。
これについては私自身のサラリーマンとしての経験も生きています。
私はアチコチの職場を転々としていましたが、中にはうつろな目をして働いている人だらけの職場があるんです。
職場環境のブラックさが原因で、そんな状態になっているんですけどね…
そして、
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そうした最悪の職場環境では、業務効率も質も低くなっています。
ある意味では当たり前でしょう。
自分の仕事に誇りを持てず、疲れ切って、いい仕事が出来るわけがありません。
顧客満足度と社員満足度はリンクしている、そんな考え方もあるんです。
社員満足度が上がればあがるほど、顧客満足度も上昇していくということです。
自分自身の経験からも、社員満足度と顧客満足度の相関はあると思っています。
さてエイジスの話にもどしますが、エイジスでは現在、労働環境の改善にとりくんでいるようです。
実際のところ、どの程度の取り組みかは分かりませんが、いい方向に進み出したようなので私もようやく投資をしようと思えました。
無人店舗やレジ無人化の影響
エイジスのメイン業務は棚卸し代行です。
一部からは「技術の発展により、これから無人店舗が増えていくことで需要がなくなっていく」という話も出ています。
ですが、私はこれについては当面のところ問題がないと考えています。
というのも現在の無人店舗の状態を見ていると、無人店舗は正確無比という訳ではなさそうだからです。
それなりのエラーが予測されるということですね。
そしてエラーにより理論在庫と実在庫に差が出るのであれば棚卸しは必要です。
むしろ通常営業中の人員を削減するということは、棚卸し時の人員がいないって事でもあります。
棚卸しのためだけに人を雇うのはバカらしいですし、むしろ外注が増える可能性すらあるかも?となんて考えています。
こういった理由から無人店舗が増えても、しばらくの間はエイジスの業務には影響がないでしょう。
ただですよ。他に気になる点があるんです…
それは日本などでも一部で導入されているタグ方式です。
これは商品にタグをつけ、会計時にはそれを読み取ることで計算し、レジを無人化しています。
このタグ方式だと、もしかしたら棚卸しもセンサーを使えば一瞬で終わる可能性があります。
少ない人員でも問題がなく棚卸しができるわけです。
こうなってしまうと、棚卸し代行業はいらなくなりますね。
ですが、このタグ方式の普及がなかなか進まないのにも理由があるんです。
一見すると良さげに見えるタグ方式ですが、実は多くの問題をかかえています。
まずは商品にタグを取りつける必要があること。
これはもう手間がメチャクチャかかるのが想像できますよね。
お会計や棚卸しで効率化ができても、そのぶんタグの取り付けに時間がかかってしまっては意味がありません。
また、タグそのものの値段が高いという問題もあるようです。
タグ自体が高価だと、コスト削減にはならないですよね。
こういった問題点があるのでタグ方式はいまだに主流とはなっていません。
ただ今後、技術の進歩によりタグが安くなるなど、状況が変わる日が来るかもしれないので注意が必要だとは考えています。
しかしスーパーやコンビニなど自分たちの身近なお店ですぐに変化がわかるので、自然と変化には気づける事でしょう。