持ち株の増資が発表された!
株式投資をしていれば経験することではありますが、正直なところ「ひぃぃ」となる状況です。
なぜなら増資が発表されると、株価が下がるケースが多いですからね。
私自身も何度か経験がありますがドキドキしました。
また実際に増資が発表された時には、
株を売るべきなのか、それともチャンスと見て買い増すのか、はたまた放置をするのか、難しい決断をしなければいけません。

そこで今回は増資が発表された時に、私がどのように評価し、そして判断をしているのかをまとめてみました。
目次
良い増資と悪い増資
まず増資に対する考え方ですが、長期投資なのか、それとも短期投資なのかで根本的に違います。
短期投資での増資は、ただひたすらに悪者の可能性が高いでしょう。
先ほども書きましたが増資後は株価が下がる可能性が高いからです。
まあごくごくまれに期待値がやたらと高い買収のための資金調達による増資だったり、材料で尽くしで株価が上がることもあるかもしれませんが、レアケースだと思います。
基本的に株価は下がることが多いので、短期投資にとっての増資は悪いものでしょう。

ところが長期投資だと、必ずしも増資は悪いものではありません。
なかには「投資家に利益をもたらす可能性をもつ増資」もあるんです。もちろんダメなのもありますが…
そんな良い増資・悪い増資を見分けるための、私なりの三カ条をまとめてみました。
⒈増資した資金が事業の拡大など「成長のため」に使われているか。
増資でゲットしたお金の使われ方には、大きく2つの傾向があると思います。
① 一つは「会社を維持するためのお金」として使われる。
業績がピンチで、お金に困って増資されたケースなどがこれに当たります。
会社をつぶさないために、現状を維持するために、必要な現金を確保するという目的で増資されたわけです。
この場合の増資は長期投資であろうと、悪いものです。
売上げも利益も現状維持で、ただ株数が増えて薄まるだけですから。

株主に対して、利益をもたらすことの無い増資です。
まあ考えてみれば当たり前かもしれませんが。
② 二つ目のお金の使われ方は「事業を拡大するための資金」として。
増資の理由としてよくあるのが、M&Aの資金確保や、新しい事業の拡大のためというのがあります。
頭打ちになった成長の打開や、新業態の店舗数を増やすために使われるわけです。
これは長期的には、売上や利益が増える方向へ行く可能性があります。

株主へ利益をもたらせてくれる可能性があるのです。
良い増資になるポテンシャルがあるわけですね。
実際に増資された時に①なのか、それとも②なのかの見分け方
これは簡単で、増資時の会社発表を見ればおおよそ分かります。
発表された内容には増資理由が書いてありますから、それを読めばいいのです。
たまに分かりにくいのもありますが、基本的には資金の使い道は判断がしやすいと思います。
条件1まとめ
- 現状を維持するための増資は悪い増資
- 成長のための増資は良い増資になる可能性あり
2.PBRが1倍以上
良い増資になるための2つ目の条件は、
PBRが1倍以上であること。
じつはPBRが1倍以上ある状態で増資が実施されると、お得なんです!
理由については後ほど説明しますが、正直なところ分かりにくい内容です。
そのため面倒なのが嫌な方は、増資の時にPBRが1倍以上だと良いらしいと、覚えてもらうだけでも十分だと思います。
理解していなくても、そんなに問題はないからです。
また増資が発表された時に、PBRの指標を見るだけなので、良い悪いを判断するのも簡単です。
条件2まとめ
PBRが1倍以上の増資はお得。
ではでは、このあとはPBRが1倍以上だといい理由を書いていきます。
PBRが1倍以上だといい理由
理由についてはヤヤコシイ内容でして…どう伝えれば良いのかを悩みました。
出来るだけわかりやすく、シンプルに書いたつもりですが、それでも理解しにくいかもしれません。
さて、では例をあげて説明していきたいと思います。
PBRが1倍の時
例えとして、増資のときの株価が100円、1株資産が100円だとします。
この時のPBRは1倍ですね。
増資をすると株価が100円なので、1株あたり100円が会社に入ってきます。
この場合はとくに何も変わりません。
PBRが1倍以上の時
では別のケースとして、株価が150円、1株資産が100円の時にはどうなるでしょう?
PBRは1.5倍になりますね。
この状況で増資されると、株価が150円なので、増資により1株あたり150円のお金が会社に入ってきます。
ところが、もともとの1株資産は100円です。
つまり、〔150円ー100円=50円分〕の資産がオマケで増えるわけです。
増資後の1株あたり資産が、株価と増資前の1株資産の差額分だけ増加します。
そのため増資後のPBR指標は、株価が同じだったら低下します。
増資後に1株資産が増えるからです。
なんとですよ!
指標面をみると、むしろ増資によりPBRは改善するのです。
増資で数値が良くなるなんて意外ですよね。
ただし多くのケースでPERは下がります。
そのため指標面をトータルで見ると、よくなる訳ではありません。
こういった理由から、PBRが1倍以上の増資の時はプラス分の資金が増え、指標的にもPBRは改善するわけです。
さて、ここまで説明してきて何ですが、ぶっちゃけ分かりにくいですよね。
株価と1株資産の差額分だけ、追加で会社の資産が増えるということではあるんです。
3.資金をつかった先が収益をあげられるかどうか
さてそれでは3つ目の条件です。
最後の条件は「増資によって獲得したお金を使った先が、十分な利益をあげられるかどうか」です。
たとえば増資で店舗を拡大したのであれば、新規開業店が従来通りに利益をあげられればOK。
増資でM&Aをしたのであれば、買収した先の企業の収益性を評価します。
ただ…
現実問題として増資が発表された段階では、資金を使った先がどうなるのかを判断するのは難しいです。

店舗拡大とかであればわかりやすいですが、企業買収や新規事業だと、どうなるかなんて分からないですしね。
そもそも情報が少ない事例もありますし…個人投資家では限界があったりします。
実際に私自身も持ち株の増資が発表された時に、条件3の良し悪しについての判断がつかないことが多いです。
条件の1番・2番は比較的カンタンに判断が可能ですけどね…
そのため私は、3つ目の条件がなんとも言えない時にはいったん保留とします。
そして1つ目と2つ目の条件だけで増資の良し悪しを判断し、株の売買をどうするかについてを決定します。
その後、会社の決算を見つつ改めて増資の成否を評価していくケースが多いです。
条件3まとめ
- 増資により拡大した事業が十分な利益を上げられるかどうか。
- 判断がつかない時には、いったん保留とする。
最後に
長期投資家からみると、増資は必ずしも悪いものではありません。
しかし増資による資金獲得はコストが高いですので、銀行借入などの他の手段で資金を確保できれば、それがベストです。
あくまで増資の中にも、良い内容と悪い中身があるというだけの話です。
銀行借入などの他の資金調達方法と増資を比較した場合には、増資は最良の手段ではありません。